2012年2月24日金曜日

ベートーベンピアノソナタ No.5, No.6, No.15(Pastoral)/ウラジミール・アシュケナージ





ベートーベンピアノソナタ No.5, No.6, No.15(Pastoral)/ウラジミール・アシュケナージ/LONDON(キング)/1976年録音/LP

美しい。
YouTube
15番、アシュケナージのがなかったので、バレンボイムで。
http://youtu.be/pYkvP_iGjWM




バレンボイムもそうだが、ベートーベンのピアノの解釈というのには、力強くて、技巧的で、抑揚が激しく、自己顕示に満ちているという演奏が多いような気がする。


それは一面ではとてもよく当たっていると思う。
でも、それだけでベートーベンを聴いていると、段々、彼が聴かせようとしていたものが見えなくなる気がする。若いころのベートーベンは非常に技巧派でピアニストとして名を馳せていたという。しかし上記のような姿はもっと晩年になってから、そして「外に出ている面」だけであったような気がする。


創作をしている人なら分かると思うけれど、どんなに激しい性格であったとしても、制作している時、インスピレーションを受けている時の自分というのは、とてつもない静寂に包まれているものだ。


そして、ベートーベンの優れた創作も、そのような境地で生み出されたに違いないと思われるモチーフや主題がたくさんある。


ピアノを叩きつけるような演奏ばかりがベートーベンではなく、後のロマン派にも通じる精神の高揚やメランコリーがある。


そしてフォルテシモの中には、明らかに瞑想状態で生み出されたのではないのだろうか?と思われるフレーズがいくらでも出てくるのだ。


アシュケナージの演奏は、そういった深い静寂の中で生み出されるフォルテシモがあって、聴いていてしっくりくる。

0 件のコメント:

コメントを投稿