David Bowie / Low (1977)
ベルリン三部作と呼ばれるアルバムの1枚目です。アンビエントミュージックの大家ブライアン・イーノとの共作です。
1970年代後半、デビッド・ボウイが西ベルリンに住み、半分もしくはほぼ全編歌なしのアルバムを出していたことは、雑誌や友人(の兄達)のレコードを通じて中学生の少年もなんとか知っていました。
その頃の記憶を辿って行くと、確かボウイは「歌詞は無意味だと気づいたからやめたんだ」と言っていたような気がします。
とは言え本当に歌詞が無意味だと思っていたようには思えません。
後年(80年代)彼の詩集(歌詞集)を読んでいて、ふと歌詞の世界観がガラリと変わる地点がありました。韻や言葉遊びに耽ったり読んでる方をケムにまくような歌詞が減ってストレートに訴えてくる歌詞が増えてきます。
それがちょうどこのLowやHeroesの頃でした。
それにしてもLowは歌のないアルバムです。
B面はイーノとの共作だなあと感じさせる曲が多く、インストルメンタルとしてしっかり成立しているのですが、A面は明らかに「ボーカルトラックだけ消えている」としか思えない曲だらけで、当時も今も聴く度もぞもぞ妙な気持ちになります。
当時の彼の体調(離脱症状で極限状態だったと云われる)にも関係しているのかもしれません。
ちょうどロックに目覚める頃、民放のFMも開局されていなかった田舎に住む少年たちにとって、音楽の情報源はNHKFMとAMの深夜放送と雑誌と2コ上ぐらいの先輩達の根拠のよく分からない評判だけが頼りでした。
雑誌は主に「Young Guitar」と創刊されたばかりの「ロッキンf」(中学生にはまだ少々ドギツイ雑誌だった)。「Player」や渋谷陽一御大主宰の「Rockin'on」もありましたが難解でした。
そんな乏しい情報量でグラムロックといって咄嗟に出てくるのはデヴィット・ボウイとなぜかアリス・クーパー。そして誰もが聴いたことがあるのはデヴィッド・ボウイだけでした。
我々の興味の中心はまずはビートルズ、そしてストーンズ、女の子はKISSにベイ・シティ・ローラーズ、少しませた子はロッド・スチュアートのお尻。ラジオ小僧はスティービーワンダーにABBAにヴィレッジ・ピープル。
ギター小僧はディープ・パープルとジェフ・ベック、不良少年はセックス・ピストルズを知りザ・クラッシュに大いなるシンパシーを感じており、デヴィッド・ボウイは聴いてもよくワカランというのが大方の評価でした。
今振り返れば、デヴィッド・ボウイがソウルやR&Bの影響から遂に独立し、アーティストへの分岐点となるアルバムであることには間違いありません。特にB面(8曲目)は今でも新鮮です。
WARSZAWA(Live)
http://youtu.be/j9rELaQztqk
ブライアン・イーノとの共作の成果が最も強く出ている曲。
なんと1978年の東京公演の映像です。こんなのも上がってるんですねえYouTube。ものすごい時代だなあ。
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