David Bowie / Lodger (1979)
デヴィッドボウイは、1970年代の後半を西ベルリンで暮らしました。思想的側面、依存症の治療、音楽的側面などいろんな理由が憶測として挙げられていますが、出てきた音楽に大きな影響を与えたことは明らかです。
そしてベルリン時代の最後のアルバムが「Lodger(間借人)」。象徴的なタイトルです。
このアルバムの特筆すべき点は何と言っても、ギタリストとしてなんとエイドリアンブリューを迎えていることでしょう。
エイドリアンブリューは、非常に個性的な(というより変態的な)ギターを弾き、バンドのサウンドがすっかりブリュー色に染まってしまうほどです。このアルバムでも世界観のイニシアチブをかなり強く握っています。
この後彼はキングクリムゾンの再結成に参加し、メインボーカル兼リードギターとして活躍します。ロバートフリップ、ブライアンイーノ、エイドリアンブリュー…。この辺はトーキングヘッズとも絡んでいろいろあります。
そんな背景もあってこのアルバムはミュージシャンズミュージックというか、オタク的というか、言いようのない浮遊感、味わいがあります。
アフリカンビートや原始的ラップ、アラビア音楽、シナスケール、スカビートなどを積極的に多用し、ワールドミュージック的な要素が散りばめられています。
当時は音楽の主役がパンクからニューウェイブに代わりつつある頃で、様々な音楽的実験はどんな音楽家にとっても避けては通れないものでした。
この感覚は、日本のバンドで言えば、あがた森魚やYMOの面々、ヒカシュー、ローザルクセンブルグ、ボガンボスといった世界に通じるものがあります。
初期のボウイは、どちらかというとアメリカのR&Bやソウルのイギリス白人的解釈に首までどっぷりハマっていたのですが、このアルバムでは完全に払拭され、80年代に大ブレイクするあのボウイサウンドの土台がここに出てきます。
それらはB面に集約されて出てきます。ベルリン前回2作のような陰鬱さからは完全に解き放たれ、自己肯定と、開放的で明るく、ポップでスタイリッシュな雰囲気が漂います。
「コスモポリタン」というアイデンティティを彼はついに掴んだ感じがします。
Boys keep swinging
http://youtu.be/UMhFyWEMlD4
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