Sorcerer/Mils Davis(1967)
NEFERTITIの前に出た、1960年代マイルス第二黄金期クインテット四部作のひとつ。このアルバムをマイルスの頂点と見なす人も多く、マイルスとその仲間たちはこの辺で完全にJAZZという括りを超えちゃってます。
このアルバムに関して何が凄いかというと、どこからどう聴いてもインプロ(即興)ありきの曲だろうという曲が、実は厳密なスコアがあって、全パートのフレーズを譜面化しながらレコーディングしたという話。本当か伝説か…もちろんアドリブも残されているようですが、どこからどこまでがアドリブかはもはや判別できません。
完全に「再生芸術」を目指した現代音楽と化しています。
確かにジャズならではのダイナミックなスリルは失われているところもありますが、その分ものすごく知的で、奥の深い演奏になってます。まるでバルトークを聴いてるような錯覚にさえ陥るのです。
いわゆるビバップをJAZZと思って聴きたい人にはあんまりおすすめできるアルバムとは言えませんが、正直に言って、マイルスと共に50年代のハード・バップ期を過ごしてきた他のJAZZミュージシャン達の、同時期(60年代後期)の演奏には結構聴くに耐えないものも多く、どれだけマイルスが研究と実験を重ねて進化してきたミュージシャンなのかを改めて思い知らされる一枚です。
しかし聴いていても容易に想像はつくのですが、マイルスとその仲間たちはこのあと本当にやることがなくなってしまい、NEFERTITIを最後に解散してしまいます。
Sorcerer
http://youtu.be/z-sMwUiZxVo